大学時代、平和真はサークルの先輩・兼園香に恋をした。
告白を機に、二人の関係は急速に深まり、そして止まる。
傍から見れば恋人同然。しかし、その実態は友人のまま。
香への想いを忘れるため、平は彼女が厭う喫煙を始める。
いつしか煙が唇に馴染み、日常の一部となった頃のこと。
社会人となった平は、喫煙所でひとりの女性と邂逅する。
目まぐるしい日々のなか、次第に彼女に惹かれていく平。
想いを告げた平に彼女が提示した条件は「禁煙」だった。
順調と思われた恋路は、しかし予想以上に険しくて──。
絶えたはずの紫煙。それでも、火種はいまだ燻り続ける。
そうして彼は知る。寂しさにも、熱があるということを。
彼はまだ、知らない。その温もりが示す、本当の名前を。