あの動画はこうして作られた

みなさん、こんにちは、こんばんは。そしておはようございます。
山本すずめです。
なんだかすごいご無沙汰な気がしますね。超水道の公式サイトをリニューアルしてから、自分で書くのは初めての記事かも。

先々週から放送が開始されたラジオ「インディーゲーム千夜一夜」の第二回目が、本日放送されましたね。
みなさん、聴いていただけましたでしょうか。

まだの方はこちらから、アーカイブが視聴できます!

ghostpiaのラジオドラマも第二回目を迎え、新しいキャラクターが登場し、何やら不穏な空気が漂ってまいりましたね…!
これから先どんなお話が展開されていくのでしょうか…楽しみですね!

 

そういえば先日、超水道もラジオの収録に行ってまいりました。
ラジオドラマの収録についてのお話とか、推しのghostpiaキャラクターについてとか、色々なお話をさせていただきました。
上手くしゃべれていたか心配です…。

というわけで、次の放送もお楽しみに!

話題は盛りだくさん

記事にいろいろ書きたいことはあるんですが(プロメア観たよとか、マジックザギャザリングデビューしたよとか、作画添削教室おもしろいねとか、ヒメヒナの新曲楽しみだねとか、ゼルダ新作は地下探索型のオープンワールドなのかなショートカットのゼルダ最高だよねとか、あれとかこれとか…)
今しか書けない、僕にしか書けないことがあるので今日はそのお話を。

超水道史上最も伸びたあれのお話

先日の斑くんの記事でも触れられていましたが、ghostpia for Switch(仮)のオープニング・アニメーションのツイートは、おかげさまで超水道史上最も伸びたツイートになりました。
本当にありがとうございます…!

あ、ちなみに!高解像度版がYouTubeに上がっております。

超水道における動画の歴史

実は、超水道にとってムービー(とりわけ、アニメーション)とはなかなか深い因縁がありまして。
まだ超水道に僕が加入してから半年過ぎたくらいの頃です。
ようやく色んな作業にも慣れてきて、冬コミで頒布するための、超水道はじめてのオリジナル作品の制作が進んでいた頃です。

まだ駆け出しだった超水道。初のオリジナル作品ということもあって、宣伝の目玉にプロモーションムービーを用意することになりました。
それは秒間8コマの、3分間(!)の手書きフルアニメーション。
作業期間は1ヶ月。作業者は僕と斑くんと二人。
冬コミを目前に控えた11月の頭のことでした。

急遽トレス台を購入したり、学業の合間にひたすら頑張ったりしたおかげでなんとか1ヶ月で動画制作は終わったものの、「なんとか終わらせた」という以上のものにはならず。
肝心の本編の制作に影響が出たりして、大惨敗に終わったという苦い過去があります…。

作品を発表するたびにPVを作ってきた超水道ですが、そんな過去のせいか、手書きのフルアニメーションだけはなかなか挑戦できずにいました。
(そういえば'99にはPVが無かったようです。流石に1週間では作れないよな…)

みんな大好きヴァンパイアハンターHIROSHI。様式美を感じますね

なるべく止め絵や実写を利用することで、動きよりも空気感を大事にしています

同じく森川空のルール・再のPV。いや〜よく水彩でやろうと思ったものです…

気合とたくさんの素材をフル活用。作品世界に合わせたメタ的な演出も、ミタくんと5日間まるまる缶詰になった賜物でしょうか

完全にネタですね!!この流れでみたら色物がすぎる。でも大好き

VHSレコーダーを使い、使用済みVHSの上からダビングを重ね、再度デジタルに取り込む手法を使って独特な質感を表現。
ghostpia以前は動画編集にフリーのAviUtlを使っていましたが、ここからAfterEffectに完全移行しました

人は歴史を繰り返す

ghostpiaのオープニングムービーを作る機運が高まっていたタイミングとほぼ時を同じくして、ghostpia for Switch(仮)のパブリッシャーであるroom6の代表・木村さんがポロッとこぼした言葉がありました。

 

「ghostpiaのアニメが見たい」

 

僕も見たい…

でもフルアニメーションでオープニングって大変じゃない?
でも、できたらカッコイイ。
ghostpia本編でもキャラクターを動かしているシーンはあるし、アイキャッチで7秒程度のアニメーションは2本作った経験がある。
iPad Proと、CLIP STUDIO PAINT EX、そしてAfterEffectが少し使える。
かつてより、ちょっとだけスキルアップしたし、うーん、これはいける…かも?

 

とりあえずちょっと試してみる?

 

こうして、24フレーム(秒間約12コマ)の30秒アニメーションを。
約1ヶ月で、僕と斑くんと二人。初めてアニメーションを作ったあの時のリベンジに近い形で制作することになったのでした。

 

オープニングアニメーションはこうして作られた

まずはiPad Proを使い、こんなシーンあったらghostpiaっぽいかな、とか、こういう構成にしたら面白いかな、という発想でざっくりとコンテを作成。

ざっくりコンテをもとに、CLIP STUDIO PRO EX上でざっくり原画を起こしました。
CLIP STUIDO PAINT EXにはアニメーションを作るための機能が盛り込まれているので、もうこれだけで結構作れてしまいます。

細かく描いてますが、このあと動画ラフを作ってイメージ共有したり、動画の尺を割り出すために、ある程度動きをつけておく必要がありました。
(本業でもないし、アニメーション制作に全く慣れていないのでストップウォッチで計測するなんて芸当はできません…)

 

そんなこんなで、AfterEffect上で動画ラフを作成しました。
これでだいたいのタイム感とか、演出イメージが見えてきました。

 

動画ラフのタイム感をみつつ、より詳細度の高いコンテを作成します。
動画ラフとこのコンテで、チームとのイメージ共有をしました。

ここからは、各カットのアニメーションをどんどん作り込んでいきます。
普段描かない角度とか、キャラクターのディティールを意識しながら連続性のある絵を描かないといけないので、めちゃくちゃ勉強になりましたね。。

ある程度動きができた段階で、出力した画像ファイルをAfterEffectにぶちこんでいきます。
タイムシートをもとに自動でアニメーションのタイミングを割り振りしてくれる便利プラグインとかがあったので、大変助かりました。
(PVとかアイキャッチのときは全部手で配置してたんだよなぁ…もっと早くに知っていれば…)

 

その後、斑くんに色つけを任せ、並行作業で作画の線をキレイにしていきました。
タイミングを微調整したり、色つけのためにレイヤーを分離させたり。
このアニメーション制作における3〜4割は多分この作業だったんじゃないかな。
動画が完成に近づくのはめちゃくちゃ楽しかったのですが、なにぶん地味な作業なので、こればっかりやってると結構参ってきます。

気分転換にチーム内にむけて作業配信したり(面白かったです)、線の修正がつらくなったらAfterEffectで動画編集したりしました。

ちなみにiPad Proは、USB-TypeCにHDMIなどを繋ぐと、簡単にディスプレイミラーリングができてまじで便利です。

 

それにしてもAfterEffectでの動画編集が非常に面白くて。
標準のエフェクトの組み合わせでグリッチ感とかを表現しているんですが、エフェクトを組み合わせる順番を変えるだけでも全然様子が変わったりとか。

制作途中の様子。完成動画のイメージとは全然違うことが分かると思います。出来上がったカットから順に動画編集し、出力結果に問題がないか確認していました。


1フレーム単位でエフェクトの影響量を変えてみると、流れで観た時に印象がまったく変わったりとか。
作画で疲れても、動画編集しはじめると面白くて、気付くと朝になっていることもしばしば。

かつて1ヶ月で動画を作った時はほとんど苦痛だった記憶しかないんですが(そのうちのほとんどは、思い通りに描けないから全然作業が進まないという感じだった気が)、今回の1ヶ月は本当に楽しい記憶ばっかりで。
作業そのものは大変だったけど、自分が表現したいものがちゃんと出せたというのが大きかったのかもしれません。

 

最後に、線画への色つけを行い(グッとghostpiaらしさが増しました)、AfterEffectでちまちま調整をしたら…完成!

 

たくさんの学びを得ました

かつてのリベンジが成功したかどうかで言えば、限りなく成功なのではないでしょうか。

これまでに培ってきた経験と技術があったからこそ完成させられたし、当時の苦い記憶があったからこそ、より強い思いで制作に向かうことができたとも思います。

今なら当時の自分たちに、よく頑張ったね、とエールを送ってあげられるかな。

 

この記事を書くにあたって、制作期間のことを冷静に振り返ってみましたが、制作を通して思ったことが3つありました。
1つ目は「インプットは大事!」ということ。

実はこのOPを作り始める前に、「カウボーイビバップ 天国の扉」と「スパイダーマン スパイダーバース」を観ました。
カウボーイビバップはもともと大好きなアニメで、劇場版をまだ観てなかったのでなんとなく観たくなって。まだセルアニメの時代の作品ですね。
スパイダーマンはなんか流行ってるから、という理由だけで予備知識0で観にいきました。こちらは最新のCG映画。

どっちの映画も僕にとっては衝撃で、完璧でした。
こんなものを観せられたら、創作頑張るしかないよね!っていう感じで。熱がすごいんです。
今回の制作は、完全にこの熱にあてられたところが大きかったと思います。

 

2つ目は「楽しいことが一番!」ということ。

このOP、気付いたら作画枚数が209枚になってました。普通絵を100枚描くって言ったら、それだけでなかなかウッてなるもんなんですが。枚数描くことが全然苦じゃなかったんですよね。
多分、キャラクターを動かそうとして、ちゃんと動いてくれたのがほんとに楽しかったんだと思います。

やっぱものづくりは、楽しくやるのが一番ですね。楽しく制作が出来る環境で、本当に良かった…

それに、これだけたくさんの方に観ていただいて、いろんな感想をもらえて、本当にありがたいし、嬉しかったです。
ghostpiaのエッセンスを詰め込んだので、穴が空くほど観てほしいです。

 

そして、3つ目は「腱鞘炎には気をつけろ」です。

みなさん、何事もほどよく休憩をとりましょう!!

 

 

ではでは、本日はこれにて。
山本すずめでした!